2014年7月31日木曜日

立山登拝!


私が全国一の宮めぐりの御朱印帳を購入したのは、平成19年1月28日のこと。白山比め神社でのスタートでした。
その同日、高瀬神社とともに参拝した、雄山神社前立社壇。御朱印を書いてくださる詰め所で、巫女さんがこうおっしゃいました。「山頂へは行かれますか?」
スタートしたばかりの私は、その言葉の意味をあまり深く考えずに、「はい」と元気よく返事をしてしまったのです。

それから7年。75ヶ所の一の宮に参拝してきた私は、ようやくその「山頂」へのチャンスを掴むことになりました。

立山山頂にある、雄山神社。立山は標高3,003メートル。もちろんロープウェイやケーブルカーは通じておらず、往復4時間の本格登山、と聞いていました。いつかは立山とずっと思って、山の本を読んだりガイドブックを読んだり。そうやって本や資料を読んでイメトレするのだけはいっちょまえですが、実際の身体のトレーニングはさっぱり。
同じく一の宮めぐりをしているお友達と、行こう! という話が立ち上がってから、一ヶ月以上あったのにもかかわらず、ちいともトレーニングをしませんでした。それなりに装備は揃えたものの、肝心の身体ができてなかったのですね。

……という言い訳をしてから本題行きます。れりごー。

7月4日。市長選挙の不在者投票などを済ませて、16時ごろ出発します。何度も忘れ物が無いか確認。特に御朱印帳だけは忘れてはなりません。
そういえば中央道の下り線を走るのは久しぶりで、中日本のスタンプ帳はその区間ほぼ未訪。ですので、石川PAからほぼ各SAPA停車で西に向かいます。豊科ICあらため安曇野ICで降りて、道の駅「アルプス安曇野ほりがねの里」へ。扇沢の無料駐車場で集合予定ですが、トイレとか洗面所があるのか不安だったので、こちらでP泊です。
夜間、結構激しく雨が降っています。うーん、雨具の準備は当然していますが、はじめての登山ですので雨だった場合、中止の予定です。できれば晴れて欲しい。
朝目が覚めると雨は止んでいました。雲はまだ重くかかっていましたので、晴れというわけではありませんが。
集合場所の扇沢駐車場へ車を走らせます。ごめん、ちょっと時間を読み誤って4分ほど遅刻しました。もうすでにみなさん集合済みです。おはようございます。

駐車場から歩いて扇沢駅へ。わずかな距離ですが、階段もある上り坂です。たったこれだけで息が切れます。マジで。ホントに大丈夫なのかよ、と我ながら思います。
室堂までの往復乗車券を購入し、黒部ダム周辺のスタンプラリーを開始します。全部で10ヶ所。今日行く予定のところばかりですから余裕でしょう。しかし、扇沢には常設のスタンプがなくなっていました。ありえん。50周年の記念イヤーでしょうに。
トロリーバスの初電は730。早めに並び、乗り込みます。

黒部ダム駅に到着。ラリーのスタンプを押しつつダムが見えるところへ。何度見てもスケールでかいです。時間があるのと、トレーニングも兼ねて展望台などこまめにめぐります。
ガルベは元気だったら帰りに乗りましょうということにして、そこでスタンプラリーはゴール。マグネットと、のりものカードを一枚いただきました。
黒部湖駅から黒部平駅までケーブルカーです。満員で立って乗ります。日本語があんまり聞こえてきません。
黒部平駅で展望台をうろうろしてからロープウェイで大観峰駅へ。このへんから視界に雪が見えてきます。そして、森林限界を越えます。
大観峰駅から室堂駅までトロリーバス。途中「雷殿」駅があった場所を通過します。駅名標がどうやらまだ残っていることがわかったので、車窓から撮ろうと狙いますが……無理。トンネルウォークにでも参加しないとダメね。
ちなみにこのトロリーバスは、途中、立山山頂直下を通過します。山頂はこの上垂直に700メートルほど。……まったくイメージできません。

室堂駅でまずはスタンプを押して、立山山頂郵便局で風景印など。ポスト型ハガキなどはありません。あれば売れるだろうにね。
復元されたかつての雄山神社本殿を参拝します。明日の無事をお祈り。
隣接の保護センターへ。スタンプを押すなど。どうやら雷鳥やオコジョを目撃するとステッカーが貰える様子。ぜひ、見たいものです。でも、目撃情報を見てもあんまりたくさんのレコードは書かれていません。それだけ希少なのかもしれません。

室堂駅周辺を試しにウォーキングです。ひとつ手前のコースを試験的に行ってみようと歩いてみたのですが、積雪が深く、思うように歩けません。私ともう一人以外は、軽アイゼンを持って来られています。靴に取り付ける簡易スパイクのようなものですね。試しにつけて歩いてみると全然滑りが違います。おお、これは買わねば。駅に売ってるかな? と一旦駅に戻り売店に向かいます。……が、取り扱い無し。やばい。ならば、遅れて合流する二人に頼もう! と電話を入れます。と、同時に今日の宿にも問い合わせてくれて、どうやらそこで入手可能だとわかります。四人分確保して一安心。
私は、売店でメガネに取り付けられるサングラスを買いました。大門です。

ではぶらりと一旦宿に向かってみましょうか。と、てくてく歩いておりましたら、あっ、雷鳥! という声が聞こえました。えー? と思ったら、本当に通路にいたよ。ひょいひょいと歩いて通路から逸れて行きましたが、手を伸ばせば触れるぐらいの距離にいます。うはー、見たよ、ミタミタ。動くからなかなか上手に写真には撮れませんでしたが(いや、そこは私のスキルの無さだろう)。

お宿は、みくりが池温泉。日本で一番高所にある温泉です。まだ14時ぐらいだったのですが、チェックインできましたので、一旦荷物を置きに部屋にはいります。二段ベッドが四連の八人部屋。合宿っぽくて楽しい。

さて、少し荷物を軽くしてみくりが池一周行きましょう。雪道でアイゼン装着。ふむ。軽快。に、なったような。気がする。
保護センターで雷鳥見たよ! と報告。ステッカーをいただきました。やったね!
駅で休憩して甘酒飲んだりして、お宿に戻ります。さっそくお風呂へ。温泉! わーい! すんごい変な味がするお湯は、やっぱり飲んじゃダメって書いてありました。けど、熱くて気持ちよかったです。
お風呂上がったら後発組も到着していて、これで全員集合。晩御飯で乾杯! お酒がまわるまわる標高2,540メートル。やっぱりちょっと空気薄い感じがするよ。立山ハイボールとかも追加で飲む。美味しい美味しい。

夕食後、夕日を見に、ちょっと外へ。明日行く予定の立山山頂が綺麗に見えています。はー、高っけええ……。

ところで、お宿の明かりは、個別の枕元に一つと、部屋に一つ。その部屋に一つのランプは、人の気配を感知して自動でつくものです。その明かりの電源が見当たらないのです。これは……夜中にトイレとか行くと部屋中明るくなってしまうパターンではないのか……。

……事実その通りになりました。てへっ。ってか、みなさんすみません。
あまりにも明るく光ったもので、慌てて二階から降りましたらハシゴを一段読み誤って降りてしまいました。足はなんともありませんでしたが、右手の手のひらが痛いです。ハシゴ持ってた手に負担が来たのね。あざになって腫れてしまったよ。

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さて。あけて翌朝。当日です。
雨は降っていませんが、山頂付近、ガスがかかっていてまったく見えていません。うーむ。これはどうなんだ。ともあれ、途中の一ノ越まで行ってみて判断しようということにします。
朝ごはんをもりもり食べて着替えて、さあ、行くか!

朝一番は身体が起きていませんので、やっぱり息切れします。一旦荷物を預けたり登山届けを出すために駅に立ち寄ります。そこまでで息切れ。あかん。
少し荷物を軽くして、よし、行こう。730です。
てけてけ歩くとすぐに雪ゾーンへ。軽アイゼンを装着して、歩き始めます。時々ずりっと滑って体力ゲージが一気に減りますが、まあなんとか歩けないこともなく。じわじわと雪の中のあぜ道を歩いていきます。木の棒が等間隔で立っていて、それが通路の目印です。上り坂になっていますから確実に体力は削られていきます。ぜえはあ。まあ、休みながら行きましょう。ところどころ雪が無いところがあります。アイゼンの付け外しが面倒でついそのまま歩いてしまい、余計な体力を使います。
だんだんと上り坂が急になっていきます。休止する間隔も狭まってきます。やはり滑るのでただ普通に歩くよりずいぶんと余計に歩いてる計算になります。
祓堂と呼ばれる箇所を通過して、雪が消え、一ノ越に到着。900。一時間半かかりました。小屋に入りますとスタンプがありました。一ノ越と入ったオリジナルの山バッジもあります。これで一気に元気復活。気力は蘇りますが、体力はそう簡単には戻りません。水を飲んだり、座ったりで体力回復をはかります。
一人で来られていたお姉さんと意気投合して一緒に写真撮ったり、そういう気分的な楽しさはたっぷりなのですが、いかんせん、私の身体は、重い。
幸いなことにガスはすっかり晴れて天候は問題ありません。行ける。けど。

さあ。ここからは雪はありませんが、ガレ地です。岩登りです。まさによじ登るように少しずつ上がっていきます。かなり急です。一気に高度を上げていくのですが、高所恐怖とか冷静に考えちゃうと足がすくんで動かなくなりそうだったので、一切考えずに目の前の岩を少しずつ攻略していきます。
単純な話、私の重い身体を重力にさからって持ち上げていく作業の繰り返しです。重力キツい。なので、本当に10歩歩いては休憩、の繰り返し。酸素吸ってみたり、水飲んでみたりをひたすら繰り返して、少しでも上に向かいます。
距離は大したことなくても、「登る」というのは相当な重労働だと思い知りました。
それでも、あきらめずにちょっとずつでも進めば、いつかはつけるのですね。
1030。一ノ越からまた90分で山頂に到着いたしました。

ああ。ついた。すごい、私。じゃなくて。待っててくれたみんなありがとー。わーい! ついた! 本当についたよー!
すぐにでも御朱印をいただきたい気持ちを抑えて、山バッジ買って、スタンプを押して、頂上参拝券を買います。そう、まだ頂上ではなかったのです。

鳥居をくぐって門を通り、階段をあがって、まずは平場で待ちます。山頂には本殿があり、宮司さんがおられお祓いをしてくださるのです。前の組が終了するのを待ってからあがります。
だいたい6メートル四方ぐらいでしょうか。10人ぐらいでいっぱいです。柵などはありません。

ああ、山頂に来たのだなあとしみじみと思います。ああ、来てよかった。ああ、来れてよかった。

山頂から少し降りて山小屋社務所へ行き御朱印をいただきます。登頂証明書なるものもありましたのでお願いします。
少し天候が悪くなってきましたので、名残惜しいですが、下山することといたします。1130。ああ、結構山頂にいたんだね。

あの登ってきた岩場を降りていきます。滑らないように気をつけて。私の場合、自分の重さが最大の問題だったので、帰りは……正直かなり楽でした。重力に逆らわずに重いものを下ろしていくわけで、それを支える足腰が動くうちは大丈夫です。


それでも後半はかなり疲れて、休憩をはさみつつでした。ふと思い出して買ってあった非常食のチョコレートを食べたんですが……こんなに美味しいとは。涙が出そうなほどに美味しかったのよ。あうあう。

一ノ越に戻ってきました。1230ぐらいかな。写真撮ってなかったのでタイムスタンプが無くてわかりません。
実のところ、ここから先の雪道に不安はありました。行きに、すれ違ったアスリートのお兄さんは、軽快にスキーでもするように滑って降りていましたが、そんなに足腰丈夫じゃありません。
軽アイゼンつけて、おそるおそる雪道に滑り出します。あ、でも、これ、うまくやればスキーみたいに滑りながら降りられるかも。仲間内のお一人が軽快にひゃっほーと言いながら駆け下りて行きました。つええ。
けど、かかとで接地するようにすると結構楽に歩けます。昔とった杵柄がこんなところで役立つとは!(私、一応学生時代スキー部だったのです。リフトに乗りたかっただけのほぼ幽霊部員ですが)
なので、雪道は比較的楽に下山。室堂が見えてきました。室堂平にはやや上り坂もあるので、そこは無言でもくもくと。そんなわけで、無事に下山することができました。1330ごろでしょうか。6時間で行って帰ってきた計算になります。山頂に1時間いましたから、歩いていたのはおよそ5時間。想定されたコースタイムより1時間余計にかかっています。初心者軍団なのだからそれは充分なスコアでしょう。

山を登って降りてしているあいだは、すれ違う人たちとこんにちはーとご挨拶して、一言二言言葉を交わすのが楽しかったです。こういうのが登山の楽しみの一つなんだなーわかるわー。
しかし、室堂平に帰ってきたら……日本語が聞こえなくなり、大陸のみなさんばっかりになりました。山には上がって来ないのですね。

荷物を回収して、逆コースで戻ります。お腹空いていますのでご飯食べたい。黒部ダムのレストハウスまでこらえて、ダムカレー。うまいうまい。

ずっと気になっていた「ハサイダー」を購入。しかし、ここで買ったことをあとで後悔することに……。

食後にソフトクリームとか食べてのんびり休憩。黒部湖の遊覧船に乗る元気はありませんでした。通勤電車みたいにみんな寝ちゃいそうだったしね。わずか10分のケーブルカーでも寝ていた人がいたぞ。
扇沢に戻り、駐車場に戻り、帰り道の無事を祈りつつ解散。お疲れ様でした!

とはいえ、ここから数時間運転して帰らねばなりません。私は頭は冴え冴えで全然眠くなかったのでその辺心配はしていませんでしたが、中央道渋滞25キロ。所要時間2時間以上という情報にがっくり来て、途中のPAで1時間ほど休憩。しかし、全然渋滞は解消せずでしたので、やむなく突っ込みました。はー、渋滞ほどばかばかしい時間の使い方は無いですよね。
そんなわけで無事帰宅。お風呂にさくっと入っておやすみなさい!

……そうそう、なんでハサイダーで後悔したかって? 黒部ダムで買ってから車に戻るまでにね、ザックの中でシャッフルされていたのだな。ハハッ。

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