2016年8月30日火曜日

メダルで乗る観覧車&豆汽車

遊園地の「のりもの券」が好きなんです。感熱紙の消えちゃいそうなのではなく、ちゃんと印刷されたやつ。今日使い切れなくても次回また使ってねと大事にしてもらえそうな券。
コレクションは始まったばかりでまだ全然集められていませんが、調べているうちに、「券」と言いながらもちょっとすてきなものを見つけましたよ。

京都市動物園は京都の右側左京区にある老舗動物園。近くには南禅寺だとか平安神宮もあるので、目の前を通ったことがある観光客の方は多いはず。
この動物園の中に、小さな小さな遊園地があるんです。
観覧車と豆汽車と回転ボート。たったそれだけなんですが、子供たちの歓声がよく響いています。
ここの乗り物は一回200円。現金ではなく、のりもの券を買うのです。
どれどれどんなチケットかな? と200円を入れてみますと……。

じゃーん!
なんと、メダルが出てきました!
おそらく、ゲームセンターなどにある乗り物を除いて、遊園地ののりもの券としては、国内唯一なんじゃないかしら。ネットでは金色(銅色?)と銀色があるということでしたが、ちょっと見ていた限り銀色ばかり。金は錆びた古い券の可能性があります。
500円玉よりもゲームセンターのメダルよりも大きくて存在感があります。

これで観覧車や豆汽車に乗れるのです。

観覧車は、

こんな大きさですが、なんと私より遥かに年上。がっちり無骨な作りが素敵です。

豆汽車さんは、

こんなきらびやかなSL。一周があっという間だからか何周かするみたい。

実はこのメダルのことは何年か前にネットで調べて、いつか行きたいと思っていました。そんな最中、京都市動物園が昨年(2015年)に割と大規模な施設整備を行いまして、2016年の4月から「グランドオープン事業」なるものをスタートさせ、次々とイベントなどを開催されています。
もしかして、これによって、ちっぽけな遊園地は無くなってしまったのではないか。無くなっていないにしても、メダルは紙のしょぼいチケットとかに変わってしまったのではないか、とハラハラやきもきしていたのです。
でも、行ってみたら……杞憂でした。動物園そのものはとても綺麗で快適に整備され、中の遊園地も小さいながらもレトロさを保ち、メダルも健在だったのです。
古い観覧車にはこんな独特の「のりもの券」が似合います。願わくば長らく。

2016年8月21日日曜日

GuRuGuRu. KaToRi.がぐるぐるよかった件

平成28(2016)年5月28日から7月31日まで開催された、千葉県香取市を中心とした地域のスタンプラリー「GuRuGuRu. KaToRi.」。
同じ県内在住ですので、軽い気持ちで参加したのですが、このラリーが存外に良かったので、ちょっとまとめておこうと思います。

私が考える良いスタンプラリーの三か条、というのがあります。
「スタンプのデザインが良いこと」
「難易度が適度であること(期間が短すぎず、範囲が広すぎず)」
「今まで行ったことがないところに誘ってくれること」
この3つの条件って、案外全部揃うものが多くは無いのですが、このぐるぐるラリーは、いずれにおいても良かったんじゃないかしら、と思っています。

スタンプのデザインは、地元の中高生が担当していて、なかなか可愛い絵柄です。施設名を必ず入れる、というルールがあったらより良かったかなと思いますが、サイズも小さめですし、そこは難しかったかもしれません。
また、デザインのみを中高生にやってもらって、実際のスタンプは業者がきちっと作成した、というのもポイント高いです。例えば消しゴムハンコで作成まで中高生がやる、というのもできるのですが、期間が長く、屋外に置かれるもののため、強度の確保という意味で消しゴムだと厳しいですね。
インクがホビーインクだったのは、ちょっとだけマイナス。コスト的に初期投資金額が低く抑えられるのは良いのですが、補充が難しく、発色に難がある色合いがあります。金色はゴージャスで良いけど、紙に乗せると光で飛ぶんですよね。
ただ、

揃ったものを見ると、このくらいの色バリエーションがあるのは楽しいなとも思います。

期間は二ヶ月ですが、私は結局ギリギリまでかかりました。香取中心とはいえ、銚子や鹿嶋、成田がなかなかの難関で、成田は正直諦めていました(たまたまチャンスが一日だけできたので行けましたが)。

行ったことが無いところに、という意味では、息栖神社、山車会館、飯高寺あたりが白眉で、とても良かったです。

応募はしていないのですが、応募用のハガキへの押印は、押印欄とスタンプサイズが合って無くてちょっと大変なことになってしまっていました。押したことがわかればいいのでしょうが、インクが混ざり合う原因になっちゃいますので、ここは改善点かしら。
なんて、えらそうに。

ともあれ、とても楽しめたラリーであったことは確かです。

良いラリーは褒めないといけません。来年度以降もまた開催されますよう。

2016年8月8日月曜日

古河市まくらがの里散歩道スタンプラリー

茨城県古河市の「まくらがの里散歩道スタンプラリー」は、町中に常設で設置されているスタンプラリーとして、最高峰と呼べるものです。
スタートは1990(平成2)年ごろだと思われますので、もう25年以上の歴史を持つもので、一時はスタンプが行方不明になっていたり、劣化していたりしましたが、近年こまめに修復がなされるようになり、すばらしいコンディションでのスタンプ収集ができるようになっています。
その割にはまだ知らない人も多いような気がしますし、公式な宣伝も今ひとつです。よいスタンプラリーはもっと世に知られて欲しいと思いますので、私の参戦記をまとめてみようと思います。

はじめの一歩は、2008年。ネットの掲示板でちらりと触れられていたことから調べてみようと古河市に旅立ちました。
古河市歴史博物館にて、3コースのスタンプ帳とマップを入手しました。
・古河公方コース
・江戸文化コース
・旧日光街道コース
と3コースあって、スタンプ数は42箇所。
スタンプは町中の名所や旧跡に木箱があり、その中に設置されています。
初めて訪れたときには、わかりやすいところを2,3箇所めぐっただけで終了しました。これはちゃんと計画を立てて出直さないといけないぞ、と。

しかし、結局本腰を入れたのは、2013年にまで飛びます。他のラリーなどもあって、気にしつつも後回しにしちゃったのです。
2013年の3月。一念発起してレンタサイクルを借りて、全42箇所をめぐりました。
結果、42箇所のうち、修理中案内があったもの4つ。
ただ単に無かったもの1つ。
そもそも場所からしてわからなかったもの2つ。
を残してすべてを収集しました。

木箱を開けた瞬間、修理中という文字が見えたときは、ウルトラクイズのバラマキハズレくらいのショックです。今はそんなこと無いようですが、当時は、蜘蛛の巣が張っていたり、インク台が乾いてたり、修理中と書かれてスタンプが無かったり、修理中とも書かれずにただスタンプが無かったりと、完全に忘れ去られたラリーという感じだったのです。正直、もう修理中と書かれたまま戻らないかなとまで思っていました。
(こんな感じでもぬけの殻っ)
場所が不明だったところについても、公式な案内は何も無かったのです。

しかし、いくつか空きがあるスタンプ帳というのは、いつまでも気になるものです。平日に古河市に行けたらば、市役所の担当課さんに行けばいろいろと教えてもらえたりしたのかな、とも思うのですが、なかなか難しくて。

その後、通りがかったときに、そろそろいいかな? と中身が無かった木箱を覗き込んだら修理中だったスタンプが復活していたところもありました。2箇所ほどはこれで埋めました。いよいよ残りは5箇所。

また少し時間は飛んで、2015年11月。
よしやるぞ、と気合を入れて乗り込みます。
……何も知らずに行ったわけですが、その日の古河市内はとても混雑していて、コインパークに空きがまったくありません。駅近くに置いてレンタサイクルでめぐろうと思ってましたが、そうも行かない様子。
しかたがないのでスタンプスポットそれぞれまでに車で乗り付けるしかありません。

ところで、
https://www.google.co.jp/maps/@36.1964291,139.7059197,3a,75y,94.3h,86.16t/data=!3m6!1e1!3m4!1suYATz97DiN6SHZxXf-oBRA!2e0!7i13312!8i6656?hl=ja
歩行者用信号の真下のピンクのおじさんの右側に見えている妖怪ポストみたいなやつ、これが、まくらがの里のスタンプ箱です。こういう感じで、市内あちこちにあるわけですが、左上の時計マーククリックすると見れますが、2013年のストリートビューを見ると、これが同じ場所にはありません。
記憶にもなかったもので、ここはなんのスポットだっけ? と車を置いてスタンプを見てみました。

すると、「日光街道・古河宿道標」スタンプではありませんか!
よく見れば隣にある石碑がまさに道標。これは以前めぐったときに、道路拡張工事にともない撤去してる、と聞いてたものではないですか!
場所を移転して設置されているとは。今回もどうせ無いのではないか、とあきらめかけていたうちの一つだったのでラッキーです(なので、これからめぐる方は、古い地図では場所が違っていますのでご注意を)。

続いてすぐ近くの「尊勝院」へ。前回は修理中だったスタンプは、綺麗になって復活していました。それはそうとスタンプ箱の中にお賽銭がいっぱい入ってるんですが……。お寺にこういう木箱あると、入れたくなっちゃう気持ちはわかりますが。

「日光街道・古河宿道標」があるのならば、「江戸時代の土蔵造り」もあるかもしれない。
これは、前回見つからなかったものの一つで、あるはずの場所、「坂長」さんでお尋ねしたところ、引き継いでない、と言われたのです。
今現在、坂長さんの隣にあるお店の木箱には、「古河藩使者取次所」が入っており、別のコースのスタンプです。うーん、どこかにないかな……とぶらっと歩いていましたら、坂長さんの隣にあるちょっとした神社。蛭子神社というのですが、そこに木箱がありました。……もしかして、と開いてみたらビンゴです。うはーあったあった! 「江戸時代の土蔵造り」発見! 「江戸文化コース」コンプリートです!

続いて、迷いながらも八幡神社へ。よしあったあ! というわけで、「古河公方コース」もこれでコンプリート。
残るは「旧日光街道コース」。ちょっとどきどきしながら「古河城下の南の玄関口」へ。
ここは、狭い隙間にスタンプ箱が設置されていて、車からじゃ到底見つけられないようなポイント。自転車か歩きでもよほど注意していないと見逃すよう。前回は私、真横を自転車で通過しちゃったぐらいに見つけにくいのです(戻ってようやく見つけて、ぱかっと開けたら、修理中って書いてあってがっくり来た)。
そこは経験からすんなり思い出してゲット。
あと一つ。学校の近くだった、ということを思い出しながら「中の台と一里塚」をゲット。

……コンプリートいたしました。
あまりに嬉しくて自撮りの記念写真とか撮っちゃった(笑) いやっほうー!

足掛け7年とは、長かった……。とはいえ、これが自治体主催の常設スタンプラリーの最高傑作であることに違いはありません。スタンプの状態、デザイン、場所の散らばり具合、どれをとっても一級です。
公式サイトがあまり更新されず、状況がわかりにくいということはありますが、現在はいずれのスタンプの状態もよく、工事で撤去されている、なんてものも無いはずで、よい状態になっていると思います。
ぜひめぐりましょう!

公式サイトは、こちら。
http://www.city.ibaraki-koga.lg.jp/0000001054.html

では、コースごとに、いくつか傑作スタンプをご紹介。
江戸文化コース



旧日光街道コース




古河公方コース


ね、いいでしょ。では、レツゴー!

2016年8月3日水曜日

富士山にのぼってきました

前回のタイトルと内容は壮大な前フリだったのでした。

私、山登りが素人であることは重々承知です。ささやかながら筑波山の男体山女体山それぞれに登ってみたり、小さな経験は積んでみましたが、なにぶん相手は日本一の山です。そんな付け焼き刃でどうにかなるような代物では無いでしょう。
ならば装備をそれなりに整える必要があります。立山のときにも同じように考えて、なるべく良い物を少しずつ揃えました。今回の新ギアは、ザックとスパッツです。ザックは前回までは普通のリュックでした。丈夫で容量も大きく一見問題なさそうなのですが、山用のザックは外側にポケットがいくつかあるんですよね。これ実際に運動しながら使う場合必須なのです。
スパッツは、女子のイメージするアレとは違います。や、だからあっちを「レギンス」と言い直したんでしょうか。別名ゲーター。さらに別名泥除け。ルーズソックスとか、戦うロボのように、靴の上からかぶせるように履くものです。富士山では必須だと言われています。後半そのパワーを思い知ることとなります。

さて。
前夜である22日に一路御殿場に向かいます。途中コンビニやドラッグストアで、買い忘れたものを補給します。バンテリン。ヴァームウォーター。エトセトラ。
水分補給が気になります。筑波で一リットルあっという間だったしなあ……。とはいえあんまり重いのも困ります。
スタートは、御殿場口。しかし近づくにつれ霧がどんどん濃くなって行きます。ナビがそろそろ左折だと言ってますが、曲がり角が見えません。マジで視界1メートル前後。かろうじて見える道路のガイドラインを頼りにそろそろと進みます。
駐車場を見つけることはできましたが、マジ見えない。どこが空いてるんだ。どんな構造なんだ。と、とにかく置けそうなところに置こう。一番奥が空いてるようだ。バックでなんて絶対無理。前から突っ込みます。
なんとか駐車してホッと一息。……えっと。おトイレ行きたいけど……。どこ? ってか歩けるのか?
幸いなことに少し時間が経つにつれ、目が慣れたのと霧が少し晴れたのとで、なんとなく見えてきました。500円で買ったヘッドライトを片手に持っ て、少し歩いてみます。上のほうで人の声がしました。階段を見つけたので登ってみると、プレハブなどが並ぶコーナーがありました。おトイレはそこから少し 離れたところに無事発見。いやしかし、夜中に行きたくなったとしたら遠いなあ……。結局夜中にもう一度行くはめになったんですが。
とにかく登山は体力勝負。充分な睡眠が必要です。というわけで、車の中でおやすみなさい。


明けて23日。着替え終えて、おトイレでも行こうかしらと準備していましたら、見知った顔が横切ります。おはようございます。ここから三々五々メンバーが集結して来ます。今回は8人のパーティです。もちろん一番とろいのが私です。
御殿場口に車を置いたものの、実はスタートはここではありません。ここがトリッキーなところですね。バスで水ヶ塚公園に移動し、更にバスを乗り継ぎ富士宮口に向かうのです。下山は御殿場口。そのまま車で移動できます。
富士山には、保全協力金制度があります。登山者に1,000円の負担をお願いして、それを環境整備に充てるわけですね。静岡県側では1,000円 と引き換えに、シールと缶バッジがもらえます。この缶バッジ、登山口ごとに色が違うのだそうです。私は実際に登る富士宮口でお支払いすることにしました が、他のみなさま、バッジもぬかりなく各色揃えるようです。山梨県側は木札というお話もありましてよ。
そして、この保全協力金集金のテーブルにスタンプがありました。「須山口登山道」と書かれたスタンプ。合わせて「富士山ぐるり旅手帖」なるものも 配布しています。いわばガイドブックですが、これがスタンプ帳にもなっています。世界遺産の構成遺産にスタンプがあるようですが……、やはり山頂にもある ようです。

御殿場駅からやってきたバスは、思ったより空いていました。suica使えるのか。まったく考えてなかったわ。座って水ヶ塚公園へ。ここで乗り換えです。
切符売場で買うバス切符は、紙の切符。素敵切符ですが、いろいろこの先入り用なもんで余分には買いません。あとで写真でも撮っておこうと思ったらわずか数歩歩いたところで、回収する係員がいます。なので慌ててちょっと待って! と言って写真だけ撮らせてもらいました。
バスは満車で補助席も出ています。マイカー規制の九十九折をぐいぐいと登っていきます。車内では注意事項のビデオが延々と流れていました。
さて、富士宮口に到着。お天気は曇り。山頂の天候情報も見ますが、雨は免れている模様。では決行です。
高山病を避けるために、高地順応が必要ですので、この登山口でしばし休憩します。メダルを買ったり、食堂で朝ごはん食べたり。イカすゆるキャラと写真撮ったり。入山届書いたり。指導センターにスタンプ見つけて押したり。
……さあ。いよいよ覚悟を決めて、参りましょうか。

23日10時8分ごろ。スタートです。
最初はどうしたって息が切れます。「山と食欲と私」にもありましたが、体内の隅々まで血がめぐるまでの時間です。15分から20分で行き渡り、身体が軽くなってくるはずです。
はずですが……、まあやっぱりしんどいわ……。
それでも割と早くに山小屋が見えてきました。六合目です。

ところで富士山の山小屋には、基本的にあまり記念スタンプはありません。その代わり金剛杖に押印する「焼印」が有料であります。知識として知ってはいたのですが、どうしても杖は大きく、既に片手にストックを持っていることもあり、ちょっと厳しいかなあ、ということで私は事前に買わない(やらない)ことに決めていました。
ところがこの六合目に、まさに押印専用とも言うべき小型の杖があるではありませんか……。大変に迷いましたが私は今回はやめておくことにします。他のみなさまご購入された方もいらっしゃるようです。

すぐとなりにも別の山小屋があり、別の焼印があります。あっという間に埋まっちゃいそうです。

六合目から富士宮登山道を離れて、皇太子殿下が富士登山に利用された通称「プリンスルート」と呼ばれるコースに進みます。これで先の御殿場ルートに向かうのです。プリンスルートは、宝永火口を経由するので、いわば横の移動となります。上下移動は最初のうちほとんど厳しくありません。道は細くあまり 使われていない感じがします。
そして後半……。
富士山登山案内のページにはこう書かれています。「プリンスルート攻略のコツは、宝永第一火口から宝永山馬の背までの滑りやすい砂礫の登り斜面で、いかに体力の消耗を防ぐかです。」
馬の背は遠くに見えています。そこを「く」の字のような形を描く登山道が見えています。ここまでの岩場とは違い、足場は完全に砂です。
これ、後でわかったのですが、いわゆる「大砂走り」を逆走しているようなものなのです。一歩で3メートル進むとまで言われる大砂走りを「登る」ということがどれだけしんどいか……。踏み出した一歩が完全に無駄になるのです。進まない。
体力もですが、心が折れそうになります。ただ、私達には経験がありました。立山の雪山登山がまさにこんな感じ。あの時もしんどかったけど、登り切ったではないか! (軽アイゼンあったけどw)
長かった。とても長かったですが、なんとか登り切り、御殿場ルートに合流します。大砂走りを少し横切ります。ものすごいスピードで駆け下りていく人たちが見えます。
登りルートは九十九折です。角、角で一休みしながら少しずつ少しずつ登ります。しばらくして、看板が見えました。山小屋の案内です。そして3,000メートルを超えます。おお。

しかし最初に到着した日の出館は休館中。がくー。
また少し頑張って登って「わらじ館」。中を覗いてみましたら山バッジがあります。しかも「わらじ館」の文字入りが。うっかり買います。こういうので気力を補充していくのです。あと小さなお餅を一つ購入。ゆべしのようなお餅で甘くて美味しい。
次の「砂走館」まではわずかです。こちらには山バッジは無いようです。
さらに次の「赤岩八合館」が今日の目的地です。じわりじわりと進むしかありません。8人ですが、だいたい5人と3人に分かれて進みます。私は遅い3人の方。ってか、私に合わせてあとの2人は来てくれてるのです。すみません……。
16時50分ごろ。
ついに「赤岩八合館」に到着です。6時間40分。コースタイムは4時間30分なので、倍まではかかりませんでした。

山小屋では靴とストックとスパッツを脱いで袋に入れ、自分の領域の天井から吊るします。寝床は二段ベッドのようでもあり、押入れのようでもあり。私達は下段で8人横に並んで寝ることになります。お布団は湿り気味。枕無し。大丈夫かなあ……。
すぐに晩ごはんです。カレー! カレー! 8人でカレー乾杯。美味しいっす。
晩ごはんの後、少し外に出てみました。
山小屋から雲海が見えます。雲よりもう上にいるんですね。夕日は山の反対側に沈んでいきますので、雲海に富士山の影が見えています。
なんという絶景なのでしょう。まさに疲れや苦労が吹き飛ぶ風景です。

とはいえ、本番は明日です。備えて早く寝ましょう。って、まさか18時から寝るとは。眠れるもんですね。
深夜、ご来光組のみなさんが出発していくのをぼんやりと見送ります。おトイレは外にあって面倒なのでなんとなく行きそびれます。枕はザックを使ってみたりポシェットを使ってみたりしましたがイマイチ。しかしピンとひらめきます。レインウェアを入れてあるケースがちょうどいいんじゃないかしら。これがビンゴで、随分と楽になりました。
朝、4時半頃。外が少しずつ明るくなっているようです。既に何人かのみなさんが外に出ています。寝すぎなのか酸欠なのか、少しくらっとする身体を起こして、外に出てみます。寒っ。
雲海と空の境界線がオレンジ色に光っています。昨日の雲海とはまた違う表情。私はあまりご来光にこだわりが無かったのですが……、一目見ようとい う人々の気持ちを理解しました。これは、すごい。ひときわ強いオレンジ色の光が地平線から顔を出します。おはようございます。今日が来ました。

うん、今のところ体調は悪くありません。枕が無かったことによる首の痛みが少しありますので、頭痛薬を早めに飲んでおきましょう。
朝食はあんまりもりもりと食べられませんが、ご飯とおかず少々いただきます。これが後の体力に繋がるのです。

さて。
24日6時20分ごろ、山小屋を出発いたします。なぜこの山小屋が「赤岩八合館」と呼ぶのかがわかってきました。ここから先の山肌や地面が、実際 赤いのです。明らかにここまでと砂礫の質が違います。上空には青空と沈みきっていない月が見えていて、まるで火星にいるような気分になります。
ここから先は、ただひたすらに九十九折です。その角ごとに休みながら、じわじわと進む……しかありません。おそらくあそこが頂上なんだろう、とい う場所は、最初から見えています。見えていますが、全然近づいてきません。小さなことからコツコツと……。登れ。少しでも前に進め。積み重ねればいつか は、着ける、はず!

頂上までのコースタイムは95分。じゃあ3時間だなあ、と見積もったのですが、それより少し早い9時ごろ、山頂の鳥居が見えてきました。ああ! ここが! 

鳥居をくぐるといきなりそこに「富士山頂郵便局」があります。憧れの山頂局。さっそく入ります。スタンプ4種。まずは登頂証明書セットを購入し、 持参のハガキに風景印と和文印を。書いてきた暑中見舞いを二枚ほど投函。ポスト型はがきは残念ながら発売無し。あ、反対側の記帳台に別のスタンプ2種発 見。例のスタンプ帳用のスタンプもあります。
テンション上がりまくりです。し忘れたこと無いだろうかと気になりますが、先も気になります。
すぐ先に「浅間大社奥宮」があります。御朱印をいただきましょう。大小取り揃えてたくさんの御朱印がありますが、一番スタンダードタイプと、「丙申」の時だけのものがありますので、それぞれにお願いします。

もちろんお参りもいたします。でっかい神社にはでっかいお願いごとをするもんです。ぱんぱん。
授与品はなかなかシックなステッカーがあったので購入しました。


神社の向かいにお店があります。「2016富士頂上」の文字が入った山バッジと登頂証明書を買います。バッジに年号が入ってるとはなあ……。あ、下で買った茶平の記念メダルにも年号入ってるね、そういえば。

少し心が落ち着いたところで……、山頂を目指します。そうです、まだ山頂ではなかったのです。ひときわ目立つ高台に旧観測施設が残されており、そ こが山頂です。一旦緊張が途切れたのが災いしたのか、この上り坂がかなりの勾配で、厳しく、手すりを掴みながら少しずつ登ります。


最後は階段です。写真撮るための行列ができています。自分も撮りたいので我慢して並びます。そして、ついに……。
「日本最高峰富士山剣ケ峰」と書かれた石碑に手をかけました。来た。来れたなあ。一人じゃ絶対無理だったわ。みんなありがとう。せっかくですので8人の集合写真も撮ります。いえーい!
名残惜しいですが、順番がありますので、譲ります。それにしても廃墟マニア的にも心奪われる施設がたくさんあるのですね、富士山。

富士山山頂の火口がどうなっているのか、というのは今まで写真などで見て、知識としては知っていました。しかし、こうして生で見ると、本当に険しいというか、自然そのままむき出しなのですね。火口の底の部分も神社の一部であり、大内院(幽宮)と呼ばれています。もちろん立ち入り禁止です。

さて、帰り道のことがとても心配ではあるのですが、やはりお鉢巡りはしたい。というわけで、ここで、お鉢巡りする組としない組で一旦分かれます。私は、する組。ひ弱なのに……。
山頂の縁を歩いてめぐるわけですが、平坦というわけではありません。結構なアップダウンがあります。

ひいこら言いながら歩いていると、ひときわ賑やかな区画が見えてきました。吉田口のゴール部分です。ここに「久須志神社」があります。山頂のもう一つの神社(山梨県側)ですね。ここでももちろん御朱印を。超巨大な印も気になるけれど、スタンダードと丙申限定印を。


こちらには売店というか山小屋が四つも並んでるんですね。日本一高いところにある自動販売機もあります。コーラが500円。でも妥当でしょ。記念と実用を兼ねて買います。……このコーラのうまかったこと!

一番手前のお店で山バッジを見ていたら、「今日の日付刻印するよ」と声をかけられました。!? ならば買う買う。ちょろい客ですね、私。
次のお店では、茶平メダルの「山頂」バージョンを発見。しかし裏面にマグネットがついています。以前もそんなマグネットつきを買ったことがありま すが、ママちゃんにドライバー一閃で取ってもらったことがありまして。きっとこれも取れるだろうと購入いたします(ダメだったらまたママんとこ持ってい く)。
QRコードでもらえる登頂証明なんてものもあったね。もう一つのお店にてスタンプも発見しました。

そしてぐるりと最初のポイントまで戻ってきました。少し休憩しながら、お鉢めぐらなかった組と連絡をとってみましたら、間違えて富士宮口から降りちゃったって。おーい、大丈夫か。

私達は、予定通り御殿場口を下ることとします。12時15分ぐらいだったでしょうか。
ここに、生涯のうちにもう一度来ることあるかな。あるかもな。来てもいいな。

なにぶん重い身体ですので、重力に逆らわないとなると結構楽です。というわけで、登りほどは角ごとの休憩などは必要とせずに下っていきます。それでも滑ったり転びそうになったり。そういうところで体力が削られます。
どんどん下り、泊まった山小屋まで戻ってきました。あまり休むこともなく先に進みます。次の山小屋「砂走館」でお昼ごはんを食べることにします。 ラーメン。800円。サッポロ一番みそラーメンにハムと海苔が乗ってるだけ。だけど、これが……本当にうまいんです。あっという間に完食。
さあ、頑張って降りよう。日の出館跡を過ぎるといよいよ「大砂走り」が始まります。地面が砂礫ではなく黒い砂になり、一歩足を踏み入れると、下り坂と自分の重さでずずずっと前に進みます。一歩「3メートル」はさすがに大げさですが、普通に歩くより明らかに早い。動く歩道のようなものです。最初のうちは面白がってどんどん進むのですが……。やっぱり疲れは溜まるのです。休憩をはさみます。
天気が崩れつつあります。霧が深くなり、前を歩く人が見えないほどです。足元だけを見つつ、ずずっずずっと進みます。足がいよいよ痛くなってきました。マメももう潰れた感じ。
いくら早く下山できるとはいえ、御殿場コースは、この大砂走りが……長い。7キロあるんだそうですよ。さすがに途中しんどくて長めの休憩をとったりしつつ、ただひたすら下ります。うひー。霧も濃いし、トレイルランの人たちが猛スピードで駆け下りていくし、何しろ先が見えないというのがしんどかった わ。
御殿場口は地味なルートのため、先ほどの日の出館跡から駐車場近くの大石茶屋まで、まったく山小屋がありません。つまりおトイレも無いんだよ。後半ちょっとそろそろ、あ、あかん。行きたい……、となって無心に進んだりもいたしまして、なんとか大石茶屋に到着いたします。すぐにおトイレにダッシュ。 あぁぁぁ。

ここらで気が抜けたのでしょうね。お天気が霧から雨になりつつあったこともあり、駐車場に急ぎます。もうすぐだと思ってたけど、ここからまだ結構あったのよ。
最後の無い気力を振り絞りつつ歩きます。……ああ、見覚えのあるバス停が。ようやく駐車場に到着。17時15分ごろだったでしょうか。つまり、5時間。よく歩いたよ……。
車に倒れこむように乗り込み、靴を脱ぎ一息。そういえば、お鉢めぐらなかった組は? どうやらそのまま富士宮口を下山し、バスやタクシーで移動し、こちらにすでに到着しているようです。霧深い第三駐車場へ向かいます。また前が見えぬ。うろうろしてようやく発見。
富士宮口には、山小屋がたくさんあったようで、焼印がめっちゃ集まってる方がいらっしゃいます。……ケガの巧妙だ。いいなあ(笑)

さて、お風呂行きましょう。まず目指したのは、御胎内温泉。しかし町内のイベント関係とやらでやってません。がく。では、御殿場市温泉会館へ。第二駐車場から温泉までのわずかな道のりがつらいつらい。温泉に飛び込んだら、手の甲が痛い! 見れば真っ赤に焼けています。うわ、と思って各所チェックしましたら、鼻の頭と右肩のあたりと手の甲が火傷のように赤くなっています。特に強い太陽光線を浴びた記憶は無いのですが……さすがは日本一の高所です。
温泉の後はご飯。静岡県ではおなじみの五味八珍へ。浜松餃子も食べるよ。うまうま。
というわけで、解散! お疲れ様でした! みんながいたから登れました!

そして私は、翌日の仕事に備えて、御殿場市内に確保したホテルで即寝でした……。お疲れ様でございます。