2014年9月10日水曜日

0泊3日の小笠原ツアー行って来たよ

弾丸なのかブーメランなのか。

0泊3日の小笠原ツアーが存在する、ということを知ったのは、2014年7月15日のこと。確かケータイ国盗り合戦の夏の陣に関するニュースを見ていたときに、そんな文字が見えて。どういうことだろうと検索してみたのが始まりでした。
ナショナルランドという旅行会社が発売しているツアーで、片道25時間半かけて行き、2時間滞在して、ふたたび25時間半かけて帰ってくる。実質3日かかるけれど、2泊は移動中船内になるため、0泊。
通常片道料金が26,700円かかるところ、往復で39,000円というのも魅力的。
……2時間あれば何ができる? 郵便局、役場……は、平日だったら行けるけど。ビジターセンター。観光案内所のスタンプ。ちょっとぐらい海も見られるだろうし、おみやげも買える。何より位置ゲーでの最難関が取れる。
悩む私に、背中を押す友人。一緒に行こうぜ、という仲間が3人集まれば、そりゃもう行くでしょう。
決行日は、9月6日出発便。知ってからわずか2ヶ月弱のスピード旅。
残念ながら日程の都合上、父島滞在が日曜日になってしまったため、郵便局をメインに考える友人は辞退。私としてもできればそこは行きたいところだけれど、どちらにせよ母島には行けないので、そのときということにしましょう。

同行は三人。名古屋と甲府の友人たち。旅慣れた友人は数多いけれど、中でも指折りの旅慣れメンバー。心強い。

さて、当日。朝8時半ごろ竹芝桟橋集合。若干遅れる一名。でも、慌てない。事前に小笠原経験者の旅人よりありがたき有益情報を多数得ていたので、むしろ遅れ歓迎。
曰く「なかなか乗り込まない地元の人たちについて搭乗せよ。番号順に案内されるが、最後尾以降は出港後に開放されるので余裕がある。」

ぞろぞろと乗り込んでいく一団を見送りながら、展望台でおがさわら丸の写真を撮るなどして、およそ最後尾に乗り込む。E-2船室という船底の2等 エリアに案内される。隅っこで、ゆったりしていて、このままでも大丈夫かな? と思ったら、開放の放送。それにつられて周りにいた人たちが一斉にそちらに移動したため、そのままいた場所がかなりゆったりすることに。どちらにせよ遅れて乗り込んで正解でした。



すぐに案内所にあるスタンプを押す。インク台はゾルインクで非常に綺麗。シヤチハタ印がひとつあるが、それはイマイチ。文字だけの印なども含めて4種類と日付印2つがある。

長距離便としては新潟~苫小牧便に乗った経験はあるものの、あちらは日本海。太平洋は伊豆大島までは乗ったけど、完全に外洋に出る長距離航路は未経験。どのくらい揺れるものなのか想像が付かない。
お酒に酔ったらごまかせるかしら、と言い訳をしつつも、旅の始まりの高揚感で、お酒を複数本買い込む。酎ハイやビールだけにしとけばいいのに、焼酎まで。

出港。これから長いのか短いのかよくわからない旅が始まる。
おがさわら丸の速度は、およそ平均して27ノット。時速にすれば50キロぐらい。大型の旅客船としては速いほうだ。実際みるみるとレインボーブリッジが近づき、くぐり、離れていく。
遠くにゲートブリッジがずっと見えている。しかしいつの間にか品川を過ぎ、羽田空港を過ぎ、アクアラインを越えていく。
東京湾を越えてしまえば、あとはひたすらに、ただひたすらにまっすぐ父島を目指す。航路図を見ればわかる。本当にまっすぐ向かうのだ。
なんとなくイメージとして、伊豆諸島のそれぞれの島のすぐ近くを通過しながら進むような印象があったが、まったくそうではない。

E船室は地下2階にあたるためか、携帯の電波は入らない。デッキに出れば電波を拾う場所でも船室ではアンテナは立たない。そのため、位置登録やネットを参照するときには、Cフロアまで上がってくる必要がある。

位置ゲーにもさまざまなルールや条件があり、遠く離れた場所を取ってもよいものとダメなものがある。遠くを取ることがプレイヤー同志の戦いに有利になってしまう場合は禁じられることが多い。なので、陣地を増やすケータイ国盗り合戦などでは、対岸取りもまたひとつの戦略として捉えられているけれど、移動距離がゲーム内通貨になるコロプラなどでは、対岸取りは禁じ手だ。
なので、ルールが許す範囲で島を取れるかどうか試す。そもそも電波を拾えるタイミングが少ないので、そのチャンス内で何ができるかを考えつつゲームを切り替えていく。

ところで。
お酒はあっという間に二本開けてしまったのだが、しばらくして。手足にちょっとした痺れを感じてきた。あ、これ、乗り物酔いの合図だわ。来ちゃったわ……。
夕日が沈むのを見たあたりからグロッキー。船室で寝る。晩御飯を食べる元気は無く、二人だけに行ってもらう。


少し元気が出たので、シャワーを浴びてすっきりしようと試みる。ところが、シャワーって一箇所にとどまって割とじっとしてるので、余計に船の揺れを感じるわけで。
せっかくシャワー浴びたのにすぐにトイレに駆け込む。胃の中には何も無いので、アルコールが出てると信じよう。事実それ以降はだいぶ楽に。

そんなどたばたを繰り広げつつ、消灯時間に。おやすみなさい、おやすみなさい(船内放送でもなぜか二度言う)。

5時ぐらいだろうか、友人の目覚ましが鳴る。早くに寝たのですっきり目覚める。幸いなことに船酔いは消えている。……いや、船酔いじゃないね、お酒だったね、これ。反省。
カメラを持ってデッキに上がる。すでに大勢が集まっている。日の出だ。水平線からあがってくるオレンジ色の太陽。毎日同じはずなのになぜ神々しく感じるのだろう。





昨日18時頃、八丈島を過ぎてしまってからは、携帯の電波は一切入らない。そもそも有人島が無い区域だ。
朝5時には、すでに中間地点の鳥島も過ぎて久しく、島影の何もない海をひた走る。

朝食を摂る元気が出たので、スナックコーナーで船内で焼いたパンを食べる。美味しい。しみる。窓の外には、見たこと無い鳥が飛んでいる。カモメ? と思ったけど、くちばしが黒っぽい。どうやら「カツオドリ」というらしい。
到着までまだ数時間、することも特に無く、船底でごろごろ転がる。揺れはそんなに大きく無いけれど、常に続いている。


さて、いよいよ小笠原が近づいてきた。にわかに船内も活気づく。デッキに上がってみたら、島影が見えている。あれが小笠原諸島?
携帯が電波を受信したらしく、次々とアラートが鳴る。ケータイ国盗り合戦がプッシュしてきた。「小笠原攻略のチャンス!」だって。
早速国盗りを開き、少しドキドキしながら、位置登録。しかし、一回目は失敗。GPSをONにしていると正確な場所を拾ってしまい海の上になってしまうのだ。GPSを切って、基地局を拾うように切り替えて、攻略。
「蓬莱島を統一し、蓬莱洞主になりました」
実は全国を600国に割ったケータイ国盗り合戦では、小笠原はボーナスポイント。601国目という扱いなのだ。鷹狩りでは正式にエリアになっていて、下部では小笠原の空を統一! と表示されている。鷹も狩る。やはり東京の主が出てきた。アイテムを使ってゲット。
下船口のほぼ最前線に並ぶ。一分一秒が大事なのだ。船長らしき人が扉を開く。タラップが取り付けられる。緊張の第一歩。お天気も上々。大勢のお迎えが来ているけれど、私達はそれを横目にまずはまっすぐ客船ターミナルへ。スタンプ発見。窓口横に2種類。


 

そして、別窓の観光案内所に、えーと、シヤチハタ1つ。大きめ印1つ。小さめ印4つ。さらに、小笠原諸島滞在記念証というスタンプ帳があり、そこ に押印できる「到着日」と「出発日」の印。今日来て今日出発するんです、という話をして驚かれて、両方の日付を同じにしてもらう。ありがたや。

さあ! 歩き出そう!
ターミナルのすぐ前にトンネルがある。防空壕としても使われた歴史あるトンネル。すぐ横のカフェの店先に、木でできたふなっしーがいる。
建物の雰囲気はやはりどことなく沖縄に近いのかな。ゆったりしてて心地よい。
農協を発見。しかしATMの扉は開かない。日曜日はお休みなのだ。目の前に封筒も見えているのだがゲットならず。わかっちゃいたけど残念。
B-しっぷという観光案内所へ。スタンプあるかな? と思ったけれど、船が到着するときには、そちらに持っていってるので無い、と事前にネットで見たとおりかな。
すぐとなりに、村営バスの営業所がある。入って、一日乗車券と、1,000円分の回数券を買う。バスには乗る予定だけ れど、ほぼ収集用。





日曜日なのでもちろんやってない郵便局をじっくり見て、とりあえず実験するために自分の住所を書いたハガキをポストに投函。どんな消印が押されるやら。
小笠原支庁などを見て、ビジターセンターへ。0泊3日だと言って驚かれる。驚かれるのが快感になってきた。10名いるって聞いてますーですって。情報は回ってるらしい。
いきものめぐりラリースタンプを押印。奥多摩とかもあって大変でしょって言われる。ここに言われたくないよっ(笑) スタンプはもう1種類。
お友達に教わっていた、お弁当やさんの正確な場所がわからなかったので、ここでたずねてみる。詳しく教えてくれたものの、「あれ? 今日お休みじゃないかしら?」という不穏な発言。奥で他の方にたずねていただいた結果、本日休業であることが発覚。
があん。残念。
「女子は3回に分けて食べます。」という発言で知れるそのボリューム。ああ、食べたかった。これもまた次回の課題に。

ビジターを出て役場の写真を撮り、父島の看板の前で記念撮影などをしていたら、バスが到着。



このバスに乗り込んで、小港海岸へ。20分ほどのバスの旅だけれど、そこが車で行けるほぼ最南端。細い狭い道に入り込み、専用のロータリーのようなところでバスは終点。
折り返しまで5分! 海岸まで走れ!
砂に足を取られつつも走り、青い青い海の写真を一枚二枚。もうひとりは更に海に向かって走っていったので、先に行ってるよ! とダッシュで戻る。カメラの電源入りっぱなしだったようで、撮った記憶の無い写真がここで何枚か撮れていた。
時間内に海に走った友人も間に合い、すぐにバスは出発。どうやら海に足を浸かりに行った模様w 証拠写真つき。さすが。
境浦にあるという座礁船の跡もよく見えたけど、もっと海岸に降りてじっくり見てみたいね。



客船ターミナルに戻り、母島行きターミナルでスタンプ無いことを確認。ははじま丸の写真を撮って、おがさわら丸のターミナルに行ってみればもう大行列。
それでも慌てません。近くのコープに買い出し隊に行ってもらい、私はお土産を少々物色。行きの船内で話したおじさん達とまた会う。もう帰るの!? とお約束の会話をしつつ。


結局買い出し隊はおよそ何も収穫無く帰還。名残惜しみつつ、最後尾から乗り込む。もうお見送りの人たちは港にあふれていて、太鼓の音が響く。船のデッキには見送られる人たちが大勢並んでいる。あんなにこっち側に人集まったら、船傾かないかね?
行きとほぼ同じ状況で、E-1船室。隅っこで電源も近かったし、周りもそんなにぎっしりじゃなかったので、そのままそこに。荷物を置いて、デッキに上がる。

小笠原名物のお見送り、というのは話には聞いていたけれど、あんなに盛大で素晴らしいものだとは。
「いってらっしゃい」と言われれば、また「ただいま」と言って来たくなるではないか。
デッキから見下ろすことによって初めて気づく海の色。ブルーハワイかよ、というぐらい青い海。白波をたてて小型船がボートがおがさわら丸を追いかけてくる。ずっと手を振る人たち。ある程度のところで、ざぶーんと飛び込む人たち。カッコいい。あれ、やりたい。送るほう、やりたい。
気づけば視界がにじむ。絶対にまた来る。






最後のお見送りの船をこちらが見送っても、まだしばらくデッキに佇んでいた。カツオドリが水面ギリギリを飛ぶ。時々ざぶんと潜り、何かを獲っている。そういえば、ちらちらと水面にキラっと光るものがある。魚? あ、あれ、トビウオ? 一斉にささーっと水面から飛び上がる。
見るからに栄養豊富そうな海。ゼリーが食べたくなる。




濃密な2時間半を過ごして、一面大満足。もう一面で食い足りなさを感じつつ、再訪を強く誓う。誓いつつも、まだ残る25時間半の旅。14時に出発した船は、翌日の15時半に東京に到着するのだ。

来た時と同じように、おがさわら丸はただひたすらにまっすぐ走る。
夕食を食べ、シャワーを浴び、消灯直前の時間に私は、一人、デッキに上がってみた。雲が多くなっていて、星は見えなかったけれど、何も無い黒い海の中を、船は走っていた。
愚直と言えるほどのまっすぐさと、変わらぬ速度でずっと。

どうやら台風が近づいているようだった。そのためか揺れが大きい。お酒はおみやげにすることにしてかばんに詰め込み、飲んでないので酔いは少ない。少ないが、船内をうろうろし続けるとやはりクラクラする。
翌日、朝ごはんと昼ごはんを船内で食べる。椅子はチェーンで床と固定されている。航路図が表示されているが、軌跡はやはり変わらずまっすぐだ。


いい加減寝飽きた頃、電波が入るようになったので、位置登録を試してみた。千葉県がとれた。私は帰ってきた。

そして、竹芝桟橋到着。長い船旅をひとまず終えることとなった。お疲れ様。また、いずれ必ず。と、私はおがさわら丸に声をかけていた。

もちろん同行のお二人にも最大限の感謝を。無事におうちについたようで何よりです。私、まだ身体揺れてる感じしてます。